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*   I wan’na take you the sky high!ウィングマンって知ってる?

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I wan’na take you the sky high!

ウィングマンって知ってる?

 少年ジャンプに80’sに掲載されていた「ウイングマン」。作者は桂正和先生。テレビではアニメ「夢戦士ウイングマン」として放映されておりました。当時、「ウイングマン」は結構人気があったんじゃないかと思います。桂先生の作品で「ウイングマン」以降は、同誌に。「電影少女−VIDEO GIRL−」や「D N A 2」、「I’s」なんかを連載されておりました。桂先生の初連載作品で、先生のお話の原型でもあるこの「ウイングマン」について一言・・・。

 

Prologue:あらすじ

 子供向け特撮テレビドラマのヒーローに憧れる中学生−広野健太−。彼の入学した仲額中学校で出会った少女−小川美紅−に一目ぼれしたのでした。

 ヒーローの道を選ぶか、それとも恋愛を選ぶかで悩む健太。と、健太の頭上に突然現れた空間の裂け目から降ってきた少女−あおい−。

 気を失っている−あおい−をとりあえず自宅へ運ぶ健太。

 家へ彼女を運び入れたまでは良かったのですが、これからどうしようかと途方に暮れていたところ、彼女の持っていたノートとペンらしきものを発見。

 健太はかねてから考えていたヒーローの絵と変身の掛け声をそのノートにそのペンで書き、変身の掛け声を発しました。

 すると、彼の体中に激痛が走ったのでした!!。

 痛みが消え、ふと鏡を見ると、なんと!!自分の姿が先ほどのノートに書いたヒーロー「ウイングマン」となっているではありませんか!!・・・。

 ふとしたことからヒーロー「ウイングマン」となることが出来た”広野健太”は”あおい”の”ドリームノート”を狙い次々とやってくる刺客と死闘を繰り広げるのでありました!!

 書いたことが現実となるノート”ドリームノート”とペン”ドリームペン”を持って空間の裂け目から現れた謎の少女”あおい”。

 ”健太”の想いと行動に序々に心惹かれる”小川美紅”。

 果たして、空間の裂け目からあらわれた”あおい”の秘密とは、そして”健太”と”美紅”の恋の行方はいかに・・・!!

 

Chapter1:馴れ初め

 漫画については私自身、少年漫画というものは「少年」が読むものであると考えておりました。中学生になった時、「中学生はもう”少年”ではないのだから漫画は見るべきではない」、と思っておりました。

 しかしながら、それは表向きの体裁であり、実は漫画をすごく読みたかったのを覚えています。

 しかし(「しかし」、が多いなぁ)、それは中学生は「少年」ではないのだから読んではならない。という葛藤もありましたが、中学時代は漫画を読まないで過ごしました。

 高校生の頃ともなると、漫画を読まなくても別にどうってことが無くなっていまして、さらにクラスで漫画の話題が出ても、ついて行けないから読まなくては・・・とかも別段思わなかった頃のとある昼下がり。

 教室の窓の脇に「少年ジャンプ」が置いてありました。魔が差したのでしょうか、「まぁ、漫画でも読んでみるか」と、何故か思ったのです。

 週刊の漫画というのは連載ものが多くて、その号だけ読んでも話について行けないのが普通だと思います。案の定、話が判らないのでパラパラと本めくって眺めていました。

 すると、ふと・・・何故か「ふと」、目に止まった漫画があったのです。

 それが「ウイングマン」でした。話の内容的には途中からだったのですが内容が丁度戦闘シーンから始まるところからでした。

 読んでいるうちに、「おっ、なんか面白いぞ」と、思い始めまして終わりまで読み終えた時点で「来週、ジャンプ買おっと」と、思うくらいにハマってしまいました。

 それからは、単行本も全部買い揃えてさらに桂先生の作品集も買ってしまうほどのファンになってしまいました。

 自分で絵を書いて部屋に飾ったりフィギュア(もちろんウイングマンの・・・”あおいさん”や”美紅ちゃん”は作りません(^_^;))を作ったりして・・・ほとんど病気でした。

 

Chapter2:ヒーロー物は子供のものか?

 魅力の第一は、なんといってもヒーロー物って所でしょう。桂先生は特撮ヒーロー物(特に戦隊物に当時かなりハマっていたらしい)が大好きでいらしたようです。「好きこそ物の上手なれ」、という諺がありますがその魅力が最大限に引き出すことに関しては日本で一番ではないかと今でも思います。

 これは結構難しいと思うんですよ。たとえば「コロコロコミック」や「小学ウン年生」のようなお子様向け雑誌の場合、どうしてもお子様風の構成で絵柄などや話の展開が進んでしまいがちです。今で言うと「ポケモン」みたいな感じで。

 しかし、当時の少年ジャンプは出版部数が600万部を超える勢いの”超”の字がつく売れ筋雑誌でしたので月並みな構成では10週打ち切りは必至です。

 ヒーロー物とは言え、当時、高、大学生、社会人までが読んでいた「少年ジャンプ」の中で生き残って行かなければならない訳ですから月並みなヒーロー物ではダメなんです。

 桂先生の構成の場合、いわゆる”学園”物に”ヒーロー”物を融合させることにより「少年ジャンプ」でも耐えうる内容を実現した訳です。

 余談ではありますが桂先生のヒーロー物に関する情熱は先生の読み切り”学園戦隊3パロカン”に強く現れております(電磁戦隊サンバルカンのファンの方々(存在するのか?)が読めばウケること請け合いです)。

 桂先生はヒーロー物は子供のものと思われがちですが、手法によっては子供から青年まで十分に読むことのできるのであると証明した先駆者ではないかと思います。

 

Chapter3:「黄金の桂正和パターン」

 ウイングマンの中で中核をなすヒロインは2人。「夢あおい」と「小川美紅」です。真っ直ぐな考え方しかできない主人公「広野健太」の単純な思考パターンとあいまって少年漫画での恋愛パターンとして実に判り易い構図を形成しています。

 ここからは私個人が呼んでいた方法で人物を呼ぶことにします。健太君は美紅ちゃんが好きで、美紅ちゃんと付き合おうとします。しかし、健太君はおくてでなかなか美紅ちゃんに、それを伝えることができません。

 そして、突然発生した空間の裂け目から落ちてきた少女−あおい−。彼女は異次元人という設定です。違う人種であるということもあるでしょうが活発なタイプで物事をストレートに言うタイプという設定です。行くところが無いからと言って健太君の家に無理矢理居候したりします。健太君にとってはお姉さん的な存在です。

 また美紅ちゃんは、おとなしいタイプで口数も少ないのですが新体操部に入部したり(これは読者獲得の為の戦略ではないかと思いますが・・・)健太君がウイングマンであると判ると彼に協力しようとしたりして結構強い印象を与えたりします。

 活発なあおいさんですが、健太君が美紅ちゃんのことを好きであると判ると、自分も健太君のことを好きであるにもかかわず健太君と美紅ちゃんをくっつけようとして自分は身を引くといった古風なところを見せたりします。

 このように、活発でなんでも物を言うけど、いざとなると身を引いたりする古風な女−あおい−→自分の欲望にストレートに生きる−健太君−→おとなしいけど、いざとなると強い一面を見せる−美紅ちゃん−の構図は桂先生の恋愛におけるまさに「黄金パターン」です。

 私は個人的に「黄金の桂正和パターン」と呼んでいます。

 しかしながら、この手法は数多くの少年漫画に使われていて、さほど珍しくないかと思いますが、桂先生の場合はこの手の話の場合は、大体長く連載をしてるような気がします。

 多分これは、桂先生の書き方が他の先生の作品と比べて卓越しているという証拠なのではないでしょうか。

 

Chapter4:デザイン

 ヒーロー物である以上、主人公の乗る乗り物、戦闘を補助するロボットなどが必要であることは周知の事実ですが、私の一番のお気に入りは「ウイナア」、「ウイナルド」です。

 「ウイナア」は、空間を飛行できるオートバイのような乗り物です。これは健太君が「ヒーローにはナウい乗り物が必要」(連載当時の表現)だと言って「ドリームノート」に書いたものです。結構、健太君ってセンスが良くって当時私は結構デザインが気に入っていました。

 ちなみに「ウイナア」は健太君の「チェンジ ウイナルド」(だったかな?)の掛け声で「ウイナルド」に変形します。「ウイナルド」は人型のロボットで戦闘することも可能です。大体は健太君、ウイングマンが戦闘不能になった場合、代わりに戦闘を行ったり救出する役目となっております。まあ「ウルトラゼブン」の「カプセル怪獣」みたいなものです。

 で、当時私はこの「ウイナルド」デザインが大好きで、フィギュアに挑戦してみたのですが、どうも立体にすることが出来ず挫折していまいました(立体にすることが出来た方がいらっしゃいましたら是非写真など送ってください!!)。

 

Chapter5:総括的な魅力

 結局の所、「ウイングマン」の魅力は何なのでしょうか?私的には、やはり物「学園物ラヴストーリー(コメディー有り)の上に乗っかっている桂先生のヒーローに対する思い入れがエッセンスとなり独自の風味をかもし出している」といった表現が一番近いと思います。

 ほとんどワインの品評のような訳の判らない文章ですが、実際この「ウイングマン」を好きな人は、ベースとなっているラヴストーリーに憧れていた人が多いのではないのでしょうか。

 そして、主人公の健太君のかたくなで目標に向かって邁進すれば結果が得られる所は少年達の理想の形であり少年漫画において典型的な主人公像です。

 また、少年から逸脱した世代であっても、面白おかしくその姿を楽しめると思いますし、二人のヒロインの姿は恋愛への興味が最大限に増す世代にとっては非常に興味深く読めると思います。

 ヒーロー物の定番である変身のプロセスや武器とその性能の紹介などはヒーロー物が大好きな人にとってはたまらないでしょう。

 といったわけで、ヒーロー物から抜け出す世代としては恋愛に興味も増す世代と同期しているわけですから、この「ウイングマン」はそういった意味で非常にウケの良い仕上がりになっているのであると思います。

 

Epilogue:ウイングマン以降

 「ウイングマン」の連載終了以降、「ヴァンダー」と「Present from Lemon」がありましたがいまいちパッとしませんでした。実際各々の話は単行本で1巻〜2巻位で連載が終わっていると記憶しています。

 そして、読み切りで掲載された物語が連載としてスタートしたのでした。それは「電影少女−ビデオガール−」です。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この「電影少女」は実写版の映画になったほどのヒットでした。

 物語の中核をなすのは、やはり「黄金の桂正和パターン」です。「ウイングマン」の時よりさらに強化されて・・・。

 以降の連載のものに関しては読んでいませんので判りませんが、多分、いわゆる「黄金パターン」で話が進んでいるものと思います。

 最近私も漫画をすっかり読まなくなってしまったのもですから、桂先生が連載しているのかどうかも判りませんが桂先生は「黄金パターン」を更に昇華させているに違いありません。

 しかしながら、桂先生の「黄金パターン」も良いのですが、私的には「3パロカン」みたいなお話もどこかで書いて欲しいという気持ちもあります。

 ですから、桂先生、何処かの雑誌で「3パロカン」みたいな話書いてください(まぁ・・・無理か・・・(^_^;))。

 

あとがき:まだ読まれていない方の為に

 「ウイングマン」について、現在単行本は書店の店頭では見かけませんが古本屋さんでは結構見ます。全巻揃っている場合もありますので古本屋さんで購入してみてはいかがでしょうか。

 新刊が良いと思われる方には文庫本版(当然漫画です)が発売されているのを書店で見かけたことがあります。たしか全7巻くらいだったかと思います。

 私のお勧めとしては、読み切りを集めました「桂正和コレクション」です。これには2つありまして、当時スーパージャンプコミックスで(現在のスーパージャンプのことではありません)単行本で売られていました。「ウイングマン」の原型であるお話「ツバサ」や、「黄金パターン」初期のお話「すずみ」シリーズ。「3パロカン」も収録されています。

 もう一つは「桂正和コレクション」、「Vol.1」,「Vol.2」の全2巻。本の大きさはB5版です。装丁も豪華版となっております。これには先に述べた話のほかに、「ウイングマン」以降で桂先生が書かれた読みきりが掲載されております。

 「電影少女」の前身的な話の「KANA」、そして読み切りの「VIDEO GIRL」。他にも「スーパージャンプ」に掲載された「小さな灯り」等など・・・桂先生の魅力満載です。是非ご一読を・・・。

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